徳島地方裁判所 平成2年(わ)267号 判決
本店の所在地
徳島県阿南市新野町北宮の久保三〇番地
法人の名称
新生食品株式会社
代表者の住居
同阿南市新野町北宮の久保二七番地の一
代表者の氏名
神原守
本籍・住居
同阿南市新野町北宮の久保二七番地の一
会社役員
神原守
昭和五年一一月一日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官竹内司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人神原守を懲役一年六月に、被告人新生食品株式会社を罰金三〇〇〇万円に処する。
被告人神原守に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社新生食品株式会社は、徳島県阿南市新野町北宮の久保三〇番地に本店を置き、各種缶詰食品の製造及び販売を営むもの、被告人神原守は同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人神原は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入れを計上するなどして得た資金を簿外預金に蓄積するなどの方法で所得を秘匿した上
第一 昭和六〇年一〇月一日から同六一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額は一億一、五三九万六、七七五円であり、これに対する法人税額が四、六八八万四、一〇〇円であるにもかかわらず、昭和六一年一一月二八日、徳島県阿南市富岡町滝の下四-四所在の阿南税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、九四六万八、六九九円であり、これに対する法人税額が九六七万七、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額三、七二〇万六、八〇〇円を免れ
第二 昭和六一年一〇月一日から同六二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額は、一億二、九二一万四、八三〇円であり、これに対する法人税額が五、二一五万五、五〇〇円であるにもかかわらず、昭和六二年一一月三〇日、前記阿南税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四、八四七万四七一円であり、これに対する法人税額が一、八二四万三、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額三、三九一万二、四〇〇円を免れ
第三 昭和六二年一〇月一日から同六三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額は、一億五、五二五万七、一三九円であり、これに対する法人税額が六、三四〇万七、八〇〇円であるにもかかわらず、昭和六三年一一月三〇日、前記阿南税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、六九三万一、九一八円であり、これに対する法人税額が二、二一一万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、右不正行為により、正規の法人税額と右申告税額との差額四、一二九万六、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
書証の特定は、証拠等関係カード(検察官請求分)の証拠番号によつて行うものとする。
判示全部の事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の各大蔵事務官に対する質問てん末書及び各検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の簿外利益調査書、売上調査書、仕入調査書、外注費調査書、雑収入調査書、受取利息調査書、支払手数料調査書、租税公課調査書、その他所得調査書、普通預金調査書、定期預金調査書、売掛金調査書、未収入金調査書、建物調査書、設備調査書、機械装置調査書、代表者勘定調査書、支払手形調査書、前受金調査書、未収金調査書、買掛金調査書、未納事業税調査書、P/L不突合額調査書、その他所得(貸借対照表科目)調査書
一 稲原隆義、坂本昌志(38)、浦川昌夫、港忠徳、数胴眞理子、南谷幸子作成の各証明書
一 神原悦子(三通)、神原輝福、神原泰子、片岡泉(二通)、小畠宮子(二通)、安井正隆、新居栄子、日下和彦、晴山栄一、吉岡賢(三通)、大西益生、折野健吉、三木耕太郎、檜山昭夫、山本東文、山崎良起、柴田英行、中野律子(二通)、田中洋子の各大蔵事務官に対する質問てん末書
一 小畠宮子、吉岡賢(二通)の検察官に対する各供述調書
一 山本東文作成の「新生食品(株)との取引について」と題する書面
一 斉藤裕道、村井利行(二通)、岡善雄、吉田要、山崎勝次、小林敏夫作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面
判示第一及び第二の各事実について
一 二宮寛一作成の証明書
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自60・10・1至61・9・30)
一 押収してある新生食品株式会社法人税確定申告書(自60・10・1至61・9・30)一綴(平成二年押第四六号の一)
一 河野一敏、遠藤加津子(二通)、大西益生、折野健吉(二通)、檜山昭夫、山本正治(三通)、坂本昌志(47)作成の各証明書
一 木内正夫、原誠治作成の各「取引内容照会に対する回答」と題する書面
判示第二及び第三の各事実について
一 森田章子(二通)、野村瑛子、津田芳雄作成の各「取引内容照会に対する回答」と題する書面
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自61・10・1至62・9・30)
一 押収してある新生食品株式会社法人税確定申告書(自61・10・1至62・9・30)一綴(同押号の二)
一 米原稔育作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(自62・10・1至63・9・30)
一 押収してある新生食品株式会社法人税確定申告書(自62・10・1至63・9・30)一綴(同押号の三)
一 清水正之、三山敏慎作成の各証明書
一 西村勇作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面
(法令の適用)
罰条 被告人新生食品株式会社につき、各法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
被告人神原守につき、各同法一五九条一項
(各懲役刑選択)
併合罪加重 各刑法四五条前段
被告人神原守につき、同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)
被告人新生食品株式会社につき、同法四八条二項
刑執行猶予 被告人神原守につき、同法二五条一項
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 虎井寧夫)